キングズ・キャニオン – 長老たちの霊が宿っている所

巨大な岩を縫って、渓谷の中を徐々に登っていくのは、なんとも言えなく気持ちがいい。

暑いのが当然と思っていたのに、寒い。ジャンパーが欲しいくらい。

この日は、全国的な寒波の最初の日だと後で知った。翌日は雨になるなんて予想もしていない。

曇り空で助かった。案内には、暑い日には11時過ぎたら、出発してはいけない、と書いてある。それほど酷暑の中での歩きは危険だということなのだろう。

小さな子でもなんとかなるだろうと、6kmコースを選んだ。

歩道は、ほとんどの場所が、歩きやすく整えられている。

古代の人々の霊が棲む岩。

いろいろな岩が顔に見え、その霊が集りかけてくような気がする。

特に、表題の写真の岩には、私には三人の長老とその人たちを囲む魂がまるで小人のような格好をして一緒に座っているように見え、そこにしばらく佇んだ。

よくきたな、と暖かく迎え入れてもらっているように感じた。

自分の心に迷いがなければ、恐れることは何もない」と聞こえる。

そうか、やっぱり、迷いを振り切り、考えを統一し、自分の気持ちを固めることが必要なんだ。

躊躇なく、前に進むためには。

勇気を持って腹を括るのだ。

空からも足の裏からも何かが伝わってくる

かつて、旅行中にメキシコのピラミッドの頂上に腰を下ろした時に、
「きみが住む場所はここだ!」という声を聞き、帰国後、早速とメキシコに移り住む用意をし、その後4年半住んだことで私のその後の運命が決まったことを思い出した。

また、同じ声が聞こえてきた。半世紀も経ってから。笑ってしまう。でも、こういう声が聞きたかったのだ!

今度は、自分で決めよ、選べよそして、それに迷うことなく進め! という声が。

さて、今度は、どんな展開が舞っているのだろう…. わくわくしてきた。

後で知ったのは、キングズ・キャニオンは、アボリジナルの人々にとっては、男性の霊を祀るところなのだそう。

土地の人に、長老の顔を見た話をしたら、「男性たちの霊魂と繋がったね」という言葉が笑みと一緒に戻ってきた。

古代の人々の霊魂が後押ししてくれた。思うままに行けばいいのだ、と。

自然豊かな乾燥地

意外にも、灌木が繁り、緑が多いことにびっくり。

何年も乾燥していたこの地に今年の1月に雨が降ったのだそう。雨が降ると、植物は自分の生命体に水を蓄えるためにギュッと伸び緑を繁らせるのだという。

こんな枯れ枝にしかみえない枝を張って樹木が至るところで見られた。どれもとんがり帽子でかわいい。

これが枯れて落ちたものが宿舎の食堂の屋根になっていたもの。

行き先々で面白い物をみつけては、横道に逸れるもうじき5歳になる孫。

疲れたという言葉を発するどころか、終始、元気いっぱいに道中での様々な出会いを楽しんでいた。彼女も、古代の人々の霊魂に繋がっていたのかもしれない。(帰宅後に彼女が描く絵にそれまでなかったものが出てきたことをみると、魂レベルで繋がっていたのだろう)

深い感謝の気持ちに満たされ、そこを後にする。