幸運とは、こういうことを言うのだろう。
曇り空、そして、雨。砂漠に雨!
地元の人々の喜びは、尋常ではなかった。
土地が、緑が、動物たちが蘇るのだから。
洪水を起こす水が、場所が変われば、こんなにも喜びを与えるものとなる。
日常の営みも、時宜、タイミング、適度なバランスが良い関係や結果をもたらすためには大事。
ついつい突っ込みがちな私は独りよがりになり、バランスを欠いてしまう。
人々と喜びを分かち合える方法を考え創り出すこと!
ウルルに向かう車窓から雨を眺めながら、自分の生き方についてのひとつのヒントをもらったように思った。
楽しみにしていた星空や夕焼けの空はまだ見ていない。
子どもたちが喜ぶであろうライトショーもこの様子ではダメだろう。
でも、でもなのだ!
写真家たちが、何年もその機会を狙うというすごい光景が目の前に現れたのだ。
たった、数日の滞在中に、これほどのすごい瞬間に出会うタイミングは、奇跡に近い。
ある程度の雨量があり、岩の上の大きなくぼみに水が貯まらないと、滝にはならないのだそう。天井に池ができるだけの雨が降ったのだ。



かつて、母が若かりし頃、摩周湖の霧が晴れるのを4日待って、結局だめで、とても切なかったという話をしてくれたことがあった。
なぜかその話を思い出した。母は、何もかも静かに受け入れ、誰に対しても本当に優しい人だった。戦争を体験し、我が子を三人亡くした体験がその優しさを生み出したのかもしれない。毅然とした生き方の中に人に対しては無条件に優しかった母のように生きたいと願うが、自分は、この年になってもまだ程遠い。
どうしたら、すべてを受け入れられるようになるのだろうか…..
図らずも、こんなところで、そんな想いに至るのは、やはり、大地の、そして、天の、大自然の力がなすところなのだろう。
ウルルの岩肌に流れる滝の美しさ、幻想的な景色に圧倒された。
溢れ出る水
岩肌には、何本もの滝が流れている。
岩の形によって滝の形も違う。夢を見ているような景色だ。
岩には、たくさん顔がある。
至るところに顔がある。中には、こうもりがバトルを広げているように見える洞窟もあった。
それらの顔は何を物語っているのだろうか。


でも、顔にみえるでしょ?
自然の力にすごさを体の、心の隅々まで感じた日だった。