【キャリア・ウーマンから専業主婦に】

結婚は人生を変えます。

良い方向にも、悪い方向にも。

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そして、結婚の幸せ度は、二人の相性次第。

 つまり、誰を相手に選ぶかで、その後が決まるということです。

 

結婚する目的、結婚に求めるもの、考え方、生活習慣、価値観、肉体的好感度など、どのくらい一緒にいることを楽しめるかで、毎日の幸せ度は変わってきます。

 世界には様々な制度があり、昨今では同性の結婚を制度化する国も出てきていますが、ここでは、現代の日本で当たり前となっている一夫一妻を軸として話を進めます。

 

といっても、日本が一夫一妻制度を法的に確立したのは、1898年のこと。わずか、百年ちょっと前のことです。

 それまでは、側室を持とうが、妾を持とうが、妻は、ひたすら夫に仕え、生涯、その家の嫁として、家のために尽くす事を当たり前として嫁いだのでしょう。

 

だから、今の時代のように、それぞれの幸せなんていうことは、あまり問われなかったのだろうし、離婚という概念も存在しなかったのかもしれませんが、それでも、清少納言の時代から男女の気持ちの掛け合いは常に自身の存在を問う大事な要素だったわけですから、やっぱり、結婚は、自身を支える大事な柱であることは否めないことです。

 

ところで、キャリアマンという言葉はあまり聞きませんが、キャリア・ウーマンという言葉は、頻繁に出てきます。男の人は社会で働くことが当たり前で、女性は社会への進出が新しいからこそ作られた言葉なのでしょうが、仕事でバリバリ活躍している女性をイメージした言葉です。

 

それだけ、そういう女性の存在がまだ新しいということも言えそうです。

 

専業主婦という言葉もまた、不思議な言葉です。これも「仕事」を主体とした言葉です。家以外の場所で賃金に換算される仕事を持たず、家庭に納まり、家の中だけの仕事をするというコンセプトです。

 

かつては、結婚し、家に入り、子どもを産み、子どもを育てることを、誰もが当たり前としていた時代があったのに、今は、働く女性が多くなったことで、あえて、こういう名前が作り出されたのでしょうか。

 

仕事を持ち、バリバリの活躍をしていた女性が、結婚で家に入ると、複雑な心理の変化を感じるようになります。

 

その背景には、この「専業主婦」という言葉の持つ社会的ニュアンスがかなり影響しているように見えます。

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専門職で活躍している女性には、いくつかの特徴があります。

 

  • 社会の中に自分の居場所が確立されている

  • 特定の役目があり、それを遂行することに喜びと誇りを持てる

  • それまで受けてきた教育を活かせる

  • 新しい学びの刺激が常にある

  • 自分の収入で好きなように生活を楽しむことができる

  • 生活の中で選択できる自由がある

  • 選択肢は無限に広い

 

さて、そこに変化が訪れます。

 

  • すばらしい出会いがあった。一緒に暮らしたい。でも、今の仕事を物理的に続けることができなくなる。
  • 結婚は考えたことがなかったけれど、望まれ、懇願され、ここまで求められるのであれば、そこにはまた別の幸福があるかもしれない。
  • 将来子どもが欲しい。この仕事をずっと続けていたら、子どもは持てなくなるかもしれない。いい機会なのでは…
  • 結婚するつもりはなかったけれど、妊娠した。これが神様の思し召しなのかもしれない。

などなど、結婚に至る理由は様々でしょう。

 

結婚によって、それまでの専門職から離れることになった女性について考えてみます。

 

結婚という時点では、将来の幸せが確約されているように感じられるし、特に熱愛の結果であれば、他のことはみな意味を持たないように感じられるだろうし、キャリアを失うことから起こってくる葛藤は、考えてみることもないでしょうし、また、到底、想像がつかないことでしょう。

 

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「結婚」というときめきの新生活が始まると同時に、社会の一線から退いた人々には、ある程度共通したわけのわからない虚無感に襲われることがあります。

  • 社会の中の自分の居場所が消滅した
  • 自分が果たせる社会的な役目がない。誇りと喜びも失せる。
  • それまで受けてきた教育が活かせない
  • 新しい学びの刺激のない退屈さ
  • 収入がなくなり、夫に依存することの窮屈さと卑屈さ
  • 日々の生活のリズムが上手に取れない
  • 生活の中で選択できる自由はほとんどない
  • 選択肢は急激に縮まってしまった

 

そうです。仕事をしていた時の特徴は、すべて失われるのです。

 

子どもがまだいない時には、二人でまだいろいろなことができます。だから、このギャップをまだそれほどに感じないで済むのですが、子どもができた瞬間から、自由はさらに狭まり、夫への依存度が高くなるにつれ、それまでの誇り高い自分が徐徐に小さく感じられるようになっていきます。

 

この変化は、「尊厳」「自尊心」「自由」を直撃するだけに、「自己の存在意義」を大きく揺さぶられることになります。

 

  • 将来への不安
    • 仕事に復帰できるのだろうか
      • その職はもう永久に得られない時、自分はどうしたらいいのだろうか。何をすればいいのだろうか。どんな可能性があるのか。
    • いつになれば、仕事を持つことができるのか
    • 自分の成長は、ここで止まってしまうのだろうか

 

  • 結婚したことへの後悔
    • 夫への抵抗
    • 子どもへの拒絶あるいは極端なのめり込み

 

  • 良い母親になれるだろうかという不安

 

育児という超多忙な毎日にもかかわらず、心の中は、葛藤の毎日となってしまいます。

 

この状態がひどくなれば、産後のうつ病に発展しかねないことになります。

 

結婚前と後のギャップに特に苦しんでいる女性には、こんな特徴が見られます。

  • 結婚前の仕事をとても楽しんでいた
  • 周りから高い敬意を払われていた
  • 仕事での活躍 = 尊厳、自己の軸、人生設計の軸を明確に意識していた
  • 忙しくても、リズムのある生活をしていた

 

極端な言い方をすれば、結婚/出産によって、それまでの自分の軸が全部失われてしまったような状態になるわけです。

 

さて、これが起こらないようにするには、どうしたらいいか

自分の考えをしっかりと定めておくことです。

 

ホルモンの生理的な変化によって起こる部分はあるとしても、そのホルモンの分泌さえも、精神的な状態を整えることによって、ポジティブに変えていくことさえも不可能ではありませんでしょう。

 

結婚について認識しておくべきこと

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◎ 結婚する目的が何であるかを明確にしておく。

  • 愛のため? 
  • 誰かの要求を満たすため? 
  • 経済的安定?
  • 社会的体裁? 
  • 常識に従うため?
  • 子どもを持つため? etc. etc.

 

目的はプロセスを支配します。

目的が叶わなければ、毎日は惨めなものとなります。

 

例えば、生涯ぜいたくをしたいからお金持ちの人と結婚する。その代わり、自由にしてあげる。自分も自由でいたい、という人もいれば、

旦那は邪魔だからいらない。子どもさえもらえば、という人もいます。

生涯この人と一緒にいたい。だから、どんな苦労も厭わない。一緒にいることができれば、それだけで幸せ、という人もいれば、

適齢期を過ぎると誰も振り向いてくれないから、結婚さえしておけば、後はなんとかなるからイケメンならいい、という人もいます。

結婚は運。だから、自分が望む条件が整っていれば、いいことにする(といっても、リストの長さは半端ではない)、という人もいます。

 

何のための結婚なのかをしっかりと自分の中で認識しておかないと、結婚生活は、それだけ大変なものとなりましょう。

 

◎ 結婚する相手がどんな人であるかをできるだけ理解しておく。

  • 信頼できる友人になれる資質があるかどうか(恋愛の熱が冷めた時に、良き友人となれる人なら二人の共同生活も、親となって子育てのチームを組むのもらく)
  • 価値観、趣味などどこまで共有できるものがあるか
  • それぞれの生活観、結婚観、人生観に互換性があるか
  • 経済観、金銭感覚が合うか
  • 心を開いて会話ができる相手かどうか

 

◎  結婚後のしあわせは、二人が意図して、意識して作るものであり、毎日の努力が要り、結婚すること自体が幸せをもたらすものではないことをしっかりと理解しておく。

 

◎ 結婚後、仕事での楽しみに代わるものがあるかどうか。

 

◎ 自由を失う覚悟があるかどうか。少なくとも、子どもが生まれた後の数年は。

 

 

 

育児について認識しておくべきこと

 

◎ 子育ては、人生の最高の大事業。なぜなら、

  • 良い子を育てることは、良い社会を作ること。
  • 子どもは社会の未来を担う人々。自立し社会の一旦を担う人間を育てることは、最大の社会貢献。
  • その責任も役目も親となる人にかかっている。

 

◎ 子どもとの時間を楽しむ

  • 赤ちゃんや幼児は、無限の喜びと感動をもたらしてくれる人々。
  • 彼らの喜びを受け止め、同じ喜びを赤ちゃんや幼児に与えることが家族の幸せを作る。
  • その時間は、二度と戻ってこない貴重な時間。
  • 子どもの成長は親の成長を促す。親が成長する分だけ、子どもも成長する。

 

◎ 「自由」は、しばらくお預けとなる。特に、母親は。しかし、そこには、測り知れない価値がある。

  • その自由を再び得ることに焦らないこと。
  • 子どもたちの最初の数年間、子育てにすべての愛情を注ぐことが、子どもの未来の幸せの土台を作ることになるから。そして、それはとりもなおさず、親自身の未来の幸せでもあるから。
  • その数年の献身で、後の多くの問題の発生を防ぐことができるから。

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◎ 未来もしばらくお預け。でも、心配無用

  • 時代は、予測のできない勢いで変わっています。仕事の種類も無くなるもの、新しくできるものと、日々変わっていきます。そこには、仕事を求める段階になった時に、必ず、できることがあるはずです。

 

  間違いなく。

 

  なぜなら、教育を受け、技術を磨き、それをすでに社会で試しているあなたのような人が、できる事が見つからないはずがないのです。目を開けて、チャンスを狙い、想像を豊かにし、自分のクリアティビティを駆使することです。

  育児を体験し、極めて豊かになっている感性を持って、あなたでなければできないようなことがきっと待っていることでしょう。ご自分で作り出すかもしれません。

 

だから、今、その心配をしなくても大丈夫です。

 

◎ 時間を利用する。

  • この時間は、神様から授かった時間。                       仕事をしていたら、決して持てなかった時間。それなら、それを利用しないと。
  • それまでしたかったけれど、「時間がない」とどこかに押しやってしまっていたことに取り組む。
  • 今は、通信教育が発達しています。将来に備えて、資格を得るのも良いアイディア。

      

◎ 周りの理解や協力を仰ぐ。

  • 子育ては、母親だけの役目ではありません。                    家族の、特に、夫の協力無くしては、母親への負担は極めて重いものとなります。
  • 母親がしたいこと、自分の時間を持てることが、母親のメンタル状態を健全に保つことにつながります。母親がハッピーであることは、家族全体がハッピーであるために欠かせないことです。

 

次回は、産後、早い時期に職場に復帰する場合について,考えてみましょう。

投稿者: 原田房枝

An author, life coach, counsellor, and co-founding director of ICET (Inter-Cultural Education Today), a specialised program for Japanese students studying in Australia. Over twenty years she has worked with hundreds of students and parents, establishing a unique education program focused on language learning, as well as cultural understanding and personal development. Her coaching seminars guide families in how to strengthen their relationships and build happiness, especially with teenagers. She has lived in Sydney since 1980.

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