こんな話があります。
ハネムーンを計画している婚約者たち。行き先はシドニー。
新郎となる彼は、以前シドニーに住んでいたことがあり、愛する人に自分の友達を紹介し、自分が好きだったいろいろな場所に連れて行ってあげたい気持ちでいっぱい。
花嫁さんになる彼女は、憧れの旅行ができる、それも、場所をよく知っている人の道案内があれば何も心配することはない、とワクワク。
ところが、そのうちに、お嫁さんのほうは、だんだんと不安になってきます。何も具体的なことを話してもらえない。どこに行くかも、何をするかも、皆目わからない。聞けば、「秘密、秘密!」と。
彼は、あれもこれも考え、そこで愛する人がどんなにびっくりし、どんなに喜ぶかを想像して、楽しくて仕方ありません。
お嫁さんは、不安が、徐徐にイライラに変わり、そのうちに怒りまで感じるようになってきました。なぜなら、先がちっとも見えないうえに、何を聞いても、「後でわかるよ!」という返事しか戻ってこない。
せっかくのハネムーンなのに、自分は何も計画できない。アイディアを出すこともできない。先が全く見えない。想像なんて、ムリ!
そして、怒りをぶちまけ、遂に、「こんなんじゃ、あなたと結婚生活していけない!」とまで言ってしまいました。
彼の方は、何を怒られているのかさえわからない。
「こんなに楽しいことをいろいろ計画しているのに…. 何でそんなに怒るの….」
実は、これは、ふたりのパーソナリティ/性格の違いが、真っ向からぶつかったもの。
あわや婚約解消かという時に、二人を救ったのは、パーソナリティ/性格に関する知識でした。
パーソナリティ/性格は、私たちの生活のすべての面において、顔を出します。自分の生き方を左右するだけでなく、人間関係にも大きく影響します。
このお二人の場合、
彼女のほうは、先のことが具体的にわかり、緻密に計画し、準備して臨み、この日のこの時間には、何をしているかが見えることで、安心して事を運べるようにしておきたいタイプ。
彼のほうは、新しい冒険やその場で起きることに飛び込み、予測していなかったセンセーションこそが生きている歓びとなるタイプ。そして、彼にとっての最高の楽しみは、相手をびっくりさせること。
そのために、物事に向かう姿勢もスピードもリズムも、ことごとく異なります。
彼女は、過去の経験と知識を今に活かすので、体験したことがない場面に遭遇すると立ち往生してしまうことがあります。だから、できるだけ突発的なことが起こらないように周到に準備し、慎重に事を運びます。
一方、彼は、突発的なことが起こった時に出てくるアドレナリンを楽しみ、危機においては、まるで消防士さんや救急隊の隊員さんたちのように、他の人々が目を見張るような活躍をします。
お二人は、違いをしっかりと理解し、違いにイライラするのではなく、違いがあるからこそお互いに足りない部分を支援し、夫婦としてバランスの取れた家庭を作ることができることを理解。
その知識は、その後、問題に遭遇するたびに、軸となり、結婚生活で起きる問題で言い争うのではなく、その違いがなぜ起こるのかを分析し、笑い、落ち着いて解決していくことができるようになりました。
自分自身を、そして、パートナーをより深く知ることは、起きるだろう問題を予測し、問題を未然に防ぐことができるだけでなく、問題に遭遇した際には、客観的に分析して話し合える資料となります。
さらに、ユーモアで対処することで、不必要なストレスや感情の苛立ちを防ぐ事ができ、
それぞれの違いを認め受け入れることで、お互いを尊重する姿勢を保つことができます。
そうした基本的な姿勢は、子どもたちにも自然に受け継がれていくでしょう。