スマフォ依存は、こうして起こる

インターネット時代のひとつの特徴は、即時の反応、即時の満足が得られるので、時間がかかることや忍耐を必要とすることを嫌がることです。

 今は、何でもその場で手に入ります。

欲しい物があれば、ネットで注文できる。どんな情報も手中で手に入れることができる。

 

そのために、「忍耐強く待つとか、努力して達成するという姿勢がなくなる」、シネック氏は言います。

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本当にその通りです。忍耐や努力を重んじる姿勢は、学習の仕方を大きく変えます。忍耐や努力よりも、創造性を表現する事、考える力の養成、新しいことができる能力の開発、応用力を付けることなどが重視されるようになってきています。

それ自体、本当にすばらしいことです。西欧においては、そういうことが既に教育の主流になっていますが、そういう面での教育が欠如していた日本でそれが導入し始められていることは、とてもいいことです。

 

しかしながら、努力を欠いたら、結果は、目に見えています。例えば、顕著に見えることは、単語の習得です。

 

英語の学習では単語を覚えることが基本です。覚え方はみな違います。だから、方法は自分に一番効果的な方法ですればいいわけです。そのためにデバイスを使ったっていいのです!

 

どこまで伸びるかは、どれくらい単語を知っていて、それを使いこなせるかにかかっています。この覚える努力をしなければ、伸び率は極めて低いものです。覚える努力をする人との差は開く一方です。

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これは、英語という新しい言語を学ぶ場だから見えます。でも、日本人である場合、そして、日本語環境で育ってきている場合、それまでの単語や構文や文法の習得がどこまでできているのかは見えません。

でも、第一言語が貧しかったら、第二言語がそれを越えて伸びることはありません。それは、25年英語学習に関わってきた明白な事実です。

 

日本語がポツポツ、ボソボソの会話であれば、英語もポツポツ、ボソボソ。

 

日本語で本を読んだことがなければ、英語の本を読む事はさらに苦痛。

 

そして、概して、今の若者たちの会話は、マンガの吹き出し的な話し方で、ちゃんとした文章ではないことが多いのです。特に、人前では。

 

「会話ができない」とも言います。(もっとも、そう言いながらも、静かな場所で1対1の時間になれば、そして、信頼関係が築かれていれば、実際には、よく話すことができる若者たちがたくさんいることも確かです)。

 

会話ができないというのは、「何を話したらいいかわからない」「話すのが面倒」「話すことに心地悪さを覚える」といったことから来ています。

 

でも、友達とは、何時間でも話せます。聞いてみれば、小さな頃から、そして、特に、思春期になってから家庭の中で大人と会話をほとんどしていないということです。その数の多いこと!

 

この傾向をさらに助長しているのが、デバイスです。実際に顔を見て、話す代わりに、注意も視線も感情も機械の中に吸い込まれていきます。

 

良い方向に向くか、中毒にさせてしまうかの分かれ目にあるのが、

 

バランス

 

そして、

 

セルフ・コントロール(自律、自制)

 

です。

 

 

子どもは、このどちらも自分で学ぶことはできません。

 

そうなると、このすばらしい文明の機器にどう出会うか、その導入の仕方と時期が決定的に大事になってきます。

 

思春期でのソ−シャルメディアの影響に関しては、本当にたくさんの研究や資料があるのですが、何歳で導入するのが良いのか、どの年齢で導入したら、脳にどのような影響があり、それが後にどう影響するかといったといった研究は、探してみても見当たりません。

まだ、そういう研究はなされていないのかもしれません。

 

こんな例があります。

1歳ちょっと過ぎた坊やのママが、デバイスで曲をかけました。坊やは大喜び、曲がかかるたびに体を振って喜びます。機嫌が悪い時にミュージックをかけると、まるで特効薬のようにすぐに気分が直ります。テレビと繋げば、楽しい動画も出てきます。

 

曲をかけて、とせがむようになり、自分でいじることも覚えました。デバイスのそれ以外のところも開くようになり、取り上げると最初は愚図るだけで済んでいたのが、やがて、欲しいと叫び声を上げるようになってきました。

 

そのうちに、取り合いのバトルが始まり、ギブアップするのは、いつもママ。

でも、幼児が楽しめるアプリがたくさんあり、ママは、キャリアと勉強でとても忙しいので、それに夢中になっている時には、おとなしくしてくれるので、大助かり。

 

パパは、時間があれば、一緒に別のゲームで遊んだり、外に連れ出します。そんなときは、とても楽しそうに遊びます。

 

3歳になり、デイケアセンターに行くようになりました。午後、迎えの車に乗った瞬間にデバイスを要求し、家では、ほとんどの時間、それで遊んでいます。この頃には、いろいろなゲームも覚え、取り上げようとすればバトルになるので、ママは、自由に遊ばせます。

 

ある時、このご夫婦は、この子は、もう中毒状態となっているのではないかと思い、このまま行ったら大変なことになると今まで感じたことのない危機感に襲われました。

 

ミュージックという本当にイノセントな楽しみから始まったことが、子どもの心を支配するようになってしまったことに、それによって引き起こされた家族間のストレスは堪え難いレベルに達し、夫婦喧嘩が絶えなくなり、 ご夫婦は、本当に驚かれると同時に、絶望的な気分にさえなっておられました。

 

そこで、思い切った手段を選びました。

 

テレビは、坊やが寝るまでつけない。デバイスには一切触れない。そして、寝るまでの時間、坊やと一緒に遊ぶことにしました。

 

パパかママが一緒に遊んでいる時には、デバイスを欲しがらないことに二人とも気付いていたからです。

 

(因みに、お子さんの爪噛みや、激しい指しゃぶりなども、親と一緒に遊んでいる時には、起こらないという観察をされてみえる親御さんたちもいらっしゃいます。)

 

お二人は、たくさんの本を読み聞かせました。三人で過ごす時間を増やし、坊やにいろいろなことをさせるようになりました。昼間は、公園やビーチで体を動かす遊びを楽しみ、自転車に乗り、庭にハーブの苗を植え、野菜を摘み、キッチンで手伝い、車を一緒に洗い、バスルームのタイルを一緒に磨き、とパパとママがすることのすべてを、一部であっても、彼も家族の一員として役目を果たすようになりました。

 

お手伝いが大好き。やらせて、やらせて、といつもせがみます。

 

5歳になったその男の子は、小学校の幼稚部で、もっとも活発に動き、友達を助け、学ぶことをとても楽しむ子どもになっていて、とても聞き分けが良く、パパとママは、3歳の時の決断が正しいものだったことを、そして、子どもと深くつながる努力をしてきたことをお互いに感謝し合いました。

 

「夫婦の仲も、数年前までとは比較にならないほどに、ずっとずっと深まった」ということ。

 

そして、その時に悟ったのは、子どもの生活のリズムは、家族のライフ・スタイルであり、親のリズム、けじめ、自律に他ならないということです。

 

そして、その坊やには、彼が、学校で友達との関係でデバイスが欲しいと言うまでは、そして、ちゃんとした理由が言えるまでは、決して与えまい、そして、与える時には、次のことを実行しようと夫婦の間で誓いを立てています。

 

      使えるアプリを選定する

 

      使える時間を制限する

 

      使い方について、しっかりと話をする。

 

      約束ごとを作り、必ず、それに従う。

  •  親の都合で勝手に変えない
  •     一貫した姿勢を維持する
  •  子どもの成長に合わせて、アプリの内容、使用範囲、約束ごとの内容を見直していく

 

高校生たちのデバイスとの付き合い方は、ピンからキリまでです。

デバイスは、自分の学びのためであり、余興に使っても自分に制限をかけている若者たち。提出する作品は、常にベストクロリティです。

自由な時間があれば四六時中デバイスを手元から離すことができず、余興とメッセージのやり取りに浸る若者たち。提出する作品は、おざなりのものです。そして、デバイスを使えなくなる時間をいやがります。

こうした違いは、今に始まったことではなく、もっとずっと前にできあがっている姿勢です。ただ、それが鮮明に見えてくるだけのことなのです。

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学力も、社会的にできることも、違いは歴然としています。

 

未来が見えるのであれば、ネット時代の親御さんは、お子さんの未来、どちらを選ばれますか?

 

このご夫婦の強い決意と努力は、大きなヒントの一つとなりましょう。

 

基本として、デバイスの中毒性(依存性)を軽視されないことです。

 

投稿者: 原田房枝

An author, life coach, counsellor, and co-founding director of ICET (Inter-Cultural Education Today), a specialised program for Japanese students studying in Australia. Over twenty years she has worked with hundreds of students and parents, establishing a unique education program focused on language learning, as well as cultural understanding and personal development. Her coaching seminars guide families in how to strengthen their relationships and build happiness, especially with teenagers. She has lived in Sydney since 1980.

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