インターネットの概念や初期のシステムは、1950年には、すでに存在していたのだそうですが、私たちが、その存在を身近に感じ始めたのは、1990年の半ばからです。
20年ほど前に、「時代は確実に変わる。だから、それに備えよ!」と言われたことがあります。
それは、教育上でのことだったのですが、その変化は、いろいろな面で世の中に浸透し、浮き彫りになってきています。
通信方法が変わったことで、貿易も、政治も、企業の在り方も社会構造も、社会的風潮も大きく変わりました。
私たちの人々との交信や生活の仕方ソーシャル・メディアとネットワーキングの利用により、物流も、ショッピングの仕方も、情報の発信/拾集の仕方も、そして、人々との繋がり方も違ってきました。
日本では、選挙におけるその影響はあまり見られないかもしれませんが、アメリカでは、オバマ大統領とトランプ大統領が大統領になったことも、「アラブの春」と呼ばれる中東での政治的大振幅も、ISISの誕生やその後の進展も、インターネットがなければ、起こりえなかったことでしょう。
もちろん変わったことを感じているのは、その前の世代から生きてきた人たちです。
「ミレニアルズ」という言葉をお聞きになったことがありますか?
一般的には、インターネットが世界に爆発的に広まった2000年に成人になった人々のことを指し、「ジェンY (Gen-Y)」とも呼ばれます。
その人たちは、インターネットの普及が成長過程にあるので、それが時代を変えるものという意識を持つことなく、ごく普通に日常生活に取り入れ、起業家たちは、新しいチャンスを活かして世界規模のビジネスを展開し巨万の富を築き、社会活動家は社会を変えるためのメッセージを発信し、百科事典は姿を消して情報を求めるのはインターネット、と完全に生活の一部となっています。
週末を使って2ヶ月に一度ほど私が個人的に企画する同好会のひとつに、「パーソナリティ・タイプの研究」というのがあります。
先日は、たまたま「ジェネレーションのパーソナリティ」というテーマで、戦前戦後から始まり、現在に至るまでの特定のジェネレーションの特徴、社会的影響、彼らの創り出す文化などについて、それぞれの世代を代表する人たちの話を聞きながら楽しいディスカッションをしました。
特徴ある世代を示す名前は、次のようなものです。
戦後のベイビー・ブーマーズ(1946〜1964)。
日本では、堺屋太一氏の小説『団塊の世代』(1947〜1949生まれ)という名前でその特徴と社会的文化的な特性が浮き彫りにされています。西欧のベイビーブーマーズの18年に比して、たった3年間というのは際立った違いですが、次の世代の経済的発展の基盤を作ったことでは共通する特徴があります。
さらに、その後に続く世代が、人々によって呼び名が違いますが、ジェンX(1965年〜1980年生まれ)。現在働き盛りの人々です。
この世代の人々は、アメリカでのウーマンリブ運動が起こり始めてから生まれた人々で、女性の社会進出、職場において男性と同等の給与や権利を持つことが当たり前だけでなく、キャリアを自分の生き方として選ぶことが当たり前のこととして浸透してきました。
日本の女性の社会進に弾みがかかるのは、もっと後になってからのことですが、これによって、子育てが、大きく変わってくるようになったことでは、日本でも同じです。
これこそが、ロックフェラーの仕組んだ罠だったという報道もありますが、それまで家庭に任されていた教育が、学校に任されるようになりました。
実際、日本に学級崩壊が起こるようになってくるのは、「教育を受ける準備ができました。お願いします」から「躾や教育は学校でお願いします」という流れと重なっていませんか?
上手く行かなければ学校に怒鳴ってくるモンスター・ピアレンツも出現してくるようになりました。
西欧では、いちいち子どもの世話を焼き、子どもをすべての行動を支配し、子どもが自立する機会を奪ってしまう親をヘリコプター・ピアレンツと呼びます。学校に乗り込む学校を批判するのも、子どもの自主性や自立心、自律性を奪ってしまうのも、モンスターピアレンツとよく似ています。
子どもが自分で呼吸する間が無いのです。
高校生で留学して来る生徒の中にも、「うちの子はランチが自分で作れないので、ランチを作ってくれるホストファミリーを選んでください」というのと同じです。
自分で自分のことができない子どもが留学に来ても、概して、指示の無いところでは動けず、新しい環境の中ではでくの坊となるのが落ちです。
子どもができることは、小さな頃から子どもにさせる、そして、大人は手を出さないことが「自律」「自立」への鍵です。
子どもが好きなことをしている間、親が子どもの面倒を見るという図が親の愛情だというのが今の考え方なのだとすると、それは愛情ではなく、子どもの自立を妨げるものであることを、どうしたら理解していただけるのか。。。。
それに続くのが、「ミレニアルズ」です。
そして、アメリカのサン・ディエゴ州立大学の教授で心理学者のトウェンジ(Jean Twenge)博士が名付けた「iジェン」という新世代。「i」フォンの「i」であり、me、me、「私」、「私」のiです。
スマフォを手にして生まれて来た子どもたち。
「思春期の時間のすべてにスマフォが同居する」子どもたち。
トイレに行く時も、ベッドルームにも、そして、食事中にも。
勉強会でも、このミレニアルズとiジェンの特徴で湧きました。
どのように他の世代の人々に映っているのか。。。
「自分に自信がある」
「よくいろいろなことを知っている」
「政府や社会制度に対して批判的」
「寛容性に富む(同性結婚など従来の社会的タブーをタブーと見ない)」
「ものすごい数の人々または友達とネット上で繋がっている」
という面と同時に、このまま進んだら、将来はどうなるのだろうか思えるようなことも出てきました。
「一過性の知識を求め、知識を積み上げることには関心がない」
「ほとんどの時間はスマフォを覗いている」
「ものを覚えようとしない」
「すぐ忘れる」
「人々と混じることにぎこちなさを感じる」
「答えが即戻ってこないと関心を失う」
「外で体を動かすことがない」
「時間の観念が薄く、夜と昼の区別をつけない」
「肌身離さず持ち歩き、スマフォが体の一部となっている」
「ベッドルームに持ち込む」
「親の言うことを聞かない」
「社会的知識や社会性が身に付いていない」
「自分の関心とネット上のコミュニティの関心の一致に重きを置く」
「日常生活の環境にはあまり関心を示さない。物にも人にも」
「動きが緩慢」
「ソーシャルメディアの反応に一喜一憂する」
「LIKEの数で自己評価をする」
などの印象的見解が出てきました。
トウェンジ(Jean Twenge)博士は、「今まで歴史が体験した事が無い高いレベルの不安、うつ状態、孤独を感じている世代だ」「精神年齢が幼い」「仕事を得ることがとても難しくなってきている」と警鐘を鳴らしています。
そして、iジェンが遭遇しているもうひとつのことは、ネット上でのいじめや身を危険に晒す誘い、ドラッグやポルノなどに結びつき、身を滅ぼす「危険」です。
フマフォが体の一部となっている新時代の子どもたち、スマフォ、身を助く道具か、身を滅ぼす誘惑となるか、それは、セルフコントロール(自律、自制)と大きく関係しているところです。
では、それをどう防ぐか。。。
これは、小さなお子さんを持たれる方々共通の悩みであり、不安であり、迷いとなるところです。次回、その予防線の張り方について考えてみましょう。