1000人以上を生まれた時から40歳になるまで克明に追ってきた「ダニーデンの研究」の成果は、次のことを物語っています。
- 人のパーソナリティは、3歳にしてわかる
- 生来の資質に加えて、幼少時の環境が未来の形成に決定的な重みを持つ
だからこそ、
- 暖かで適宜なバランスの取れた刺激が与えられる環境を創り出すこと
そして、
- 問題があったら、早期に介入することが成功への鍵となる
幼児期に良い環境が与えられたら、成功へのロケットに載ったも同様
研究の思わぬ副産物のひとつは、総合失調症に関するそれまでの常識と医学的観点を変えるものになった事だと言います。
総合失調症は、現在、世界で2千4百万の人々がかかっていると研究センターでは言っていますが、「スキツォフレニア(日本語だと総合失調症)」という言葉や病状は、豪の通常の教育現場においても頻繁に聞かれるので、稀な病気ではないのかもしれません。
「総合失調症という病気は、大人になってから発症するものと考えられていたが、この研究によって、11歳頃には、ある症状を示すことがわかってきた。それは、その他の研究によっても確認されている。
これによって、総合失調症に対する取り組み方は、大きく変わった。」とロンドンのキングス・カレッジのマイケル・ラッター教授は言います。
「なぜ、幻視や幻聴を体験した子どもが総合失調症に至るかはわかっていないが、新しい医学的な取り組むが始まっている」と。
「ダニーデンの研究」では、11歳の子どもたちに、無いものが見えたり、実在しない音や声が聞こえるかを尋ね、あると答えた子どもたちの半分が、25年経った後になって総合失調症になっていたことがわかっています。
通常、総合失調症は、症状が出て病院に入るような状態になってからわかるもので、その時には、治すこと、治ることがとても難しくなってしまっている。
だから、「子どもの頃に予測できれていれば、早期介入(上手に導くこと)で防ぐことが可能となる」と。
社会で一般的に見られる身体的な発達の目安があげられています。
自分の意志で行動し始める(13〜14ヶ月)
話し始める(5〜24ヶ月)
歩き始める(8〜18ヶ月)
目安といっても、見ての通り、大きな隔たりがあります!!
気をつけなければいけないのは、子どもどうしを比べて、親御さんが、うちの子は、成長が遅れているのではないか、とあたふたし、
健全な子どもを病院に連れて行き、早い時期に「発達障害」のレッテルを貼ってしまうことになるかもしれないことです。
こうした例については、また、別の折に触れます。
ダニーデンの研究では、「話すことと歩くことの両方が、これらの目安よりも大幅に遅れた場合には、将来に問題が起こることを示唆している」と言います。
「ごこちなさや反射ののろさ、言語学習のスピードが遅いことは、脳の発達の様子を表しているもので、人生の最初の段階での遅れは、後々、連鎖的に様々な困難を生み出すこととなるので、できるだけ早期に対応することが極めて大事となる。」
「人間は、どんなことでも学べる。その環境を創りさえすればいいのだ」と。