こちら大人になるためのリハーサルが子ども時代なら、毎日の中で、どんな生活を送っていくかが、どんな大人になるかの鍵となります。
大人になるためのリハーサルが子ども時代なら、毎日の中で、どんな生活を送っていくかが、どんな大人になるかの鍵となります。
幼児が学んでいくことは、
自分で自分のことができるようになること → 自立
生きていくために必要な日常の細かいこと → 生きる術
仲良く協力すること → 共存共栄の精神
生活のリズム → 時間の管理、優先順位の決定
毎日の習慣 → 礼儀、物事に向かう姿勢
困難や問題を乗り越える方法 → 問題解決能力
日常の感情の起伏に対応する術 → 自分自身を知る
欲しい物を手に入れながらも、相手の気持ちや状態を察せられる気遣い → 自己の達成と周りへの思いやり
言い争いを上手に納めるタイミングや方法などなど → コミュニケーション能力
これは、子どもたちどうしの中で学ぶことでもあり、家庭で両親や兄弟姉妹との間で学ぶことでもあります。
ダニーデンの研究では、こうした学びが上手にできない危険信号が見える時、できるだけ早期に、その危険信号に対処することが極めて大事だと言っています。
それは、この研究でなくても、当たり前のこととして言えることなのですが、この研究のすごいところは、そうした危険信号が、20年先、30年先にどうつながっているかが見えていることです。
それが体系的に継続して研究されてきているからこそのものです。
通常ならば、1個人の特徴として見えることは、その1個人の属性として扱われてしまうことが、グループで研究しているからこそ、そこに流れる一連の関連性が明白に見えてきます。
このことは、私自身が、過去27年にわたって、親元を離れて異国の地に住む高校生がどのように新しい環境に適応していくか、心の中で何が起こるか、その背景にどんなことがあるのかを観察してきたことと重なります。拙著「沈黙の国から来た若者たち」こちらにその詳細を載せています。
単独の留学であれば、その若者の体験は一人の属性であり、表に出ることしか見えないのが通常でしょう。
しかしながら、まとまった数で留学してくるからこそ、全体の特徴として、見えてくるものがたくさんあります。そこには、極めて明白な流れがあります。日本の文化についても、教育についても、家庭でのしつけについても、際立った特徴があることが。
そして、一度染み付いた文化とか社会環境の影響から抜け出ることは極めて難しいことであることが。
国を変えてみたところで、それは根強く、個々の中に生きていることが。
いい面、困った面、両方があります。
例えば、文化を誇り、日本の良いところを保持し、違う文化の人々と分かち合うことは、とてもすばらしいことです。その一方で、多くの鼓舞があっても、仲間の目を気にし、自分を思うように発揮できず、目立つことに踏み切れない若者が多数いることは、ところが変わってもそれまでの社会環境で身に付いた姿勢(感じ方や考え方)から抜け出すことが如何に難しいかを如実に語るものです。
同時に、礼儀、しつけ、自制心、言葉遣い、忍耐力、向上心、努力の注入などは、家庭でしかできないものであることもよく見えてきます。そして、その違いは、若者たちの行動力や学業の成果を大きく左右するものであることも。
小さな頃から、こういうことを学んでいたら、と思うことがよくあります。
躾は、幼稚園や学校でできる部分もあります。でも、幼稚園にあがる子どもたちの中に大きな違いがあるということは、基本的には、幼稚園にあがる頃までには、その土台ができてしまっているを示唆しています。
そして、高校生という年齢になってからは、もう、頭にも身体にも入らないことがある、ということも。
それ故に、このダニーデンの研究が、幼児期に見える危険信号は、早期介入によって、できるだけそれを良い方向に向けることが決定的に大事である、と確信を持って納得できます。
そして、幼児期にごく何でもないように見えることが、実は大きな意味を持っていた、という「発見」「結果」は驚くべきものです。
何がどのように影響していくか、これから見ていきましょう。