15%に相当するという「控えめな子どもたち」というのは、
概して、静かで、よく考えてから行動することを特徴としています。
行動に移すまでに時間がかかるのは、深い思考を必要とするからです。そして、考えるために、静かな時間を好みます。
ダニーデンの研究発表には、このパーソナリティの例として、食べ物と病気の関係について研究し、今流行のパレオ式のダイエットを推奨する栄養士として活躍しているJulianne Taylorが登場しています。
「多分、友達は、私のことを静かな人と言うだろうと思う。」
「自分のもともとの性分としては、話はせずに、起こっていることを傍観し、観察する。」
「パーティとか、人々の集まるところや、特に新しい人々と出会う場に行くには、本来の自分の性分を上書きするための努力が要る。」
このパーソナリティの特質は、スイスの精神病理学者/心理学者であるカール・ユングが提唱している内向性に重なるものです。
内向性、外向性という言葉とその概念は、一般的に社会でもっとも誤解されているものだと言えます。
「内向性」という言葉から、皆様は、どのような言葉を思いつかれますか?
シャイ、恥ずかしがり屋、口下手、引っ込み思案、人見知りする、人嫌い、出不精などですか?
違うのです!!!
違うのですよ!!!
まったくの誤解です!!!
内向的というのは、関心を持つことに関する思考や感情が、内面で行われ、言葉や行動という形で外に出していない状態を指し、それがあまりにも深く壮大であるために、外に向けて出すまでには時間がかかるのです。
内面の世界は、とても忙しく、豊かで、楽しく、キラキラとしているのです。
でも、それが外に見えません。 だから、何を考えているのか、どう感じているのか、他の人々にはよくわからず、上記のような印象で判断してしまいがちなのです。
この特性を持つ子どもたちは、小さな頃から、友達と遊ぶよりも、1人で何かに夢中になっていたり、本を読んでいる時間を好むかもしれません。
大人たちは、一緒に遊ぶ、友達を持つことに重点を置くので、本来のとても美しい資質を、否定的に見てしまい、それを「へんだ」と思ってしまうことがあり、そう思うこと自体が問題だということに気が付いていません。
だから、友達とあそべ!と1人で楽しんでいる時間を強要しかねないことになります。
子どもがそれをいやがってもちっともおかしくないのです。でも、大人は、さらにそれがおかしい、と感じてしまうことが多々あります。
大人が理解すべきことは、時間はかかっても、ゆっくりと考え、研究するので、控えめの人々は、大人になってくると、社会の財産になるようなものを考え出し、創り出し、造り出すということです。
ちょうど、目立たず静かに咲いているけれど、その持つ香りは、いろいろな形で人々の生活に貢献するラベンダーの花のような感じです。
独りで深いところを詰めていく芸術家や職人さん、研究者の多くに、小さな頃から、人々との交流という場面においてはこの特質が見えていたことでしょう。
アインシュタインや、映画「Beautiful Mind」の主人公になっているジョン・ナッシュや「昆虫記」を残したファーブルも、この特質を持っています。
子どもたちが持つこの特質が花を開かせるためには、集中している時には、周りがそれを妨げない事です。彼らの集中力は、宝物です。将来の成功にもっとも必要な資質として活きるようになるためには、小さな頃からその資質を否定されず、尊重されることが決定的に大事になります。
ただし、テレビの前での長時間、スマフォのゲームは、推奨できません。むしろ、意図して避けるべきでしょう。
ロゴとかお絵描きとか、自然の中での遊びや体を動かす遊び、動物との一緒の時間など、子どもが楽しんで夢中になるもので、そこに創造性が含まれていたら、彼らの情緒は豊かに養われていきます。
この部分が満たされていなかったら、大人が勧めるいろいろなことは嫌がるようになるかもしれません。充分に満たされていれば、他のいろいろなことにも喜んで取り組むでしょう。
それは、昨日の「自信家」の子どもたちも同じことです。やりたいと思うことを、危険、ムリ、と次々と取り上げていったら、彼らは、欲求不満を募らせ、大人の言うことを聞かなくなり、悪い事をしたり、さらにもっと危険なことに走るようになるかもしれません。
たまたま昨日シドニーで開催されていた脳科学の研究会に行ってきたのですが、2歳までの刺激は、それで将来が決まるほどに決定的に大事であることが、何度か謳われていました。
だから、幼少期には、子どもが生来もって生まれたものがどんなものであれ、幸せな人生を歩めるよう健全なパーソナリティを形成していくためには、一緒に遊ぶ大人の存在がとても、とても、大事です。
子どもが嫌がり抵抗する時は、周りの大人は無理強いせずに、彼らのニーズが満たされているかどうかをまずチェックしてみましょう。