誉め方ひとつで子どものやる気や意識が変わる。
環境次第で子どもはどうにでもなる。
子どもの生来の資質が環境によって活かされてくることを示す良い研究例があります。
1960年代からスタンフォード大学のキャロル・ドエック(Carol Dweck)博士が続けている実験で、子どもの意識と行動は、二つにわけられる、というもの。
ひとつは、
固定的マインドセット:能力が無いから、努力しなければならない。
生まれ持った能力で人生は決まる。
失敗を怖れ、チャレンジすることを避ける。
もうひとつは、
成長的マインドセット:挑戦すればするほど、賢くなる。
やったらできる、だから、挑戦する。難しいことにも努力を継続する。
さて、問題は、子どもたちのこのマインドセットは、一体、いつ、どのようにしてできるのかということです。
この研究では、誉め方にあるとしています。
努力をしたからできたと誉められた子どもは、難しいことにでもやる気を見せ、挑戦し始める。
一方、悧巧だからできたと誉められた子どもは、最初は、上手に行っても、困難度が増してくると徐徐に自信を失い始め、過去のことを語る時には、以前のテストの点数を誇張するようになる、という。
ドエック教授と仲間の研究者たちは、1歳2ヶ月の子どもたちを対象に研究調査を始め、4ヶ月ごとに53軒の家庭訪問し、何気ない日常の生活の中で90分の動画を収め、大人がどういう誉め方をしているか、その数を数えました。
* 努力を誉める
* 持って生まれた資質的特徴を誉める
* 「わーすごい」「上手」といった言葉だけのもの
そして、5年後。
子どもたちが7、8歳になっている時期に、チャレンジや学習にどう取り組んでいるか、という調査をしました。
結果は:
チャレンジにより関心を持っているのは、成長的マインドセットを持っている子どもたち。
そして、その子どもたちは、より、努力を誉められる体験を積んできた子どもたち。
このマインドセットのトレーニングは、1歳からでも、とドエック博士は、言います。
「できないのね、してあげるわよ」とやってしまうのではなく、「ああ、もうちょっと、できる、できる、がんばって!」と誉め続け、子どもにやらせることが大事と。
私は、1歳と言わず、親のこの姿勢は、子どもが生まれた時から適応できるものと思います。(もっと言えば、赤ちゃんがお腹に宿った時からの、お母さんの暖かで優しい言葉掛けから、赤ちゃんのしあわせに向かう成長が始まると私は思います)。
なぜなら、1歳までには、子どもが学習し、できるようになることは無限にあるからです。
そして、体験させ、成功体験をたくさん作ることが、子どもの将来のやる気だけでなく、適応能力を養うことになり、将来、自分の道を拓いて行けるようになるためには、決定的に大事だからです。
子どもたちは、やがて学校制度という中で、否が応でも、順序付けをされます。そして、彼らのマインドが、自分はダメ、能力がない、固定されてしますと、高校生の年齢でそれを変えることは不可能ではないけれど、極めて、困難となります。
達成体験を何度も通り、自分の努力の結果を見た子どもたちは、変わっていきます。でも、その達成体験をするまでの「恐怖」を取り除くことが何よりも難しいのです。
これから子育てにかかる方々、そして、今、子育て真っ最中の方々。今日から、努力を誉めることを実践していきます。