自分の、また、他者のパーソナリティ/性質を知ることには、測り知れないメリットがあると同時に、デメリットを生み出してしまうこともあります。
何を何のために知り、どういう目的で使うかは、留意すべきところです。
日本は、血液型による性格判断が大好きな国です。
それに触れないで育っている人は、まずいないのではないかというほどに。
外国にはなく、日本特有のものです。
1916年に維持新聞(第954号)に発表された論文をもとに、戦時中に研究され、1970年代に能見正比古・俊賢父子の「血液型人間学」によって、血液型による性格判断があっという間に日本じゅうに広まったということのようです。
もう、日本の文化のひとつといってもいいほどに浸透しています。
「あなた何型?」
「A型! じゃ、慎重で、何とかで、そういう性格なんだよね」
「そうそう」
といった具合に、ごく自然に会話の材料となります。
血液型だけでなく、 長年研究が続けられてきているもの、脳科学の研究に裏付けされたものなど、世の中には、性格判断の資料がたくさんあります。
それは、これから、徐徐にご紹介していきます。
それに対する人々の熱は、自分の性格や他者の性格に深い関心を持っているのだということを示しています。
自分を客観的なものさしでもっと知りたいということは、誰もが願うことでしょう。
留意しておくべきことは、それを知ることのメリット・デメリットがあることです。
メリットは、
自分の長所を聞いたことで、自信が湧き、さらに弾みがつくこと。
自分をより深く知り、持って生まれた可能性を開く鍵になること。
足りないところ、改善したらいいところを知り、視点を置いて自分を訓練し、磨くようになること。
大人が子どもの性格がなぜそうなのかという根拠をしっかりと把握すれば、こどもたちを大人のものさしではなく、子どもが必要としていることに視点を合わせて的確に支援を出すことができます。
こんな例があります。
あるお母さんは、娘さんが静かで、おとなしいことに何年も悩みました。お母さんには、娘さんが、ぐずぐずしている、優柔不断、はきはきしない、と映っていたからです。それは、お母さんが、行動の起動とスピードと成果に重点を置く方だったからです。そして、お母さんと同じようになって欲しいと願ってみえたからです。
娘さんのパーソナリティは、几帳面で、物事を徹底的に詰め、実行しても大丈夫、特に他者への影響に関して確信を持ってから行動に移すことに価値を置くものだったからです。
もともとかわいくてたまらないお母さんですので、これを知って、
「あなたのこんな美しい面が見えていなくてごめんなさい」と謝られ、娘さんに対する見方や支援方法を劇的に変えられました。そして、それによって、それまでお母さんの期待を感じながらも応えられないことで「自信」を持てなかった娘さんが、あるがままの自分に自信を持ち輝き始めるまでに、そう時間はかかりませんでした。
デメリットは、
自分にも人にも枠をあてはめてしまうこと。
知ったことを信じ切ってしまうこと。仮に正確でないことも、また、きちんとした根拠のあるものでないことも吟味しないまま受け止め、さらに、自分をそうだと思い込んでしまうこと。
できないことはパーソナリティ/性格のせいにしてしまうこと。
その知識が、人によって、間違った方法で使われてしまうこと。例えば、企業などで相互支援による協力関係を組むのではなく、誰かをそこから省くために使われるなど。
これから徐徐にいろいろなことをお伝えしていきますが、情報は、自分を向上させ、他者に支援を出すために使うものであるということを念頭に置いておくことが大事です。